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●第10回 |
ロービジョンケアとは |
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眼科を訪れる人は、なんらかの視覚的問題をもち、これらを解決するのが眼科医療機関の使命です。近年の眼科治療、とくに手術療法の発達は目覚ましく、失明する患者は減少していますが、網膜色素変性症や遺伝性視神経萎縮など、治療できない疾患もいまだ数多く、また。糖尿病網膜症や緑内障などでは、治療によっても視機能が回復できない病態に陥いった患者がいるのも現実です。 |
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私は診療中に眼底検査に用いた+20Dレンズを患者の目の前に置きます。すると患者はしばしば「見える。見えるぞ」と驚嘆の声をあげます。このことからロービジョンケアは始まります。 |
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視覚障害は盲とロービジョンに分けられます。盲とは視覚を用いて日常生活を行うことが困難なものをいい、ロービジョンは弱視(partial sight)と教育や福祉分野では呼ばれています。この弱視は眼科でいう斜視弱視や不同視弱視などの医学的弱視(amblyopia)とは異なり、社会的弱視(教育的弱視)の意味で視覚による日常生活が不自由なものを指します。 |
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具体的には、世界保健機構(WHO)の基準では盲は視力が0.05未満、ロービジョンは0.05〜0.3とに区分されています。しかし、網膜色素変性症や緑内障患者で視力が0.7もあるのに、10度(40cm離した7cmの円)の求心性視野狭窄から日常生活で苦労している人に出会います。 |
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わが国でも、このような視野障害の影響にかんがみて身体障害者手帳の基準が平成7年4月に改正されましたが、その改正内容はいまだ不十分です。しかも、日本語には平仮名、片仮名や漢字、それにアルファベットが混在しており、アルファベットのみの文章に比べて、より良い視力が必要です。現在日本では、手動弁以上の視力で、眼鏡を装用しても日常生活に支障がでたり、困難を感ずる人をロービジョン者と呼ぶようになってきました。 |
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患者、すなわち視覚障害者の保有視機能を最大限に活用し、QOLの向上をめざすケアがロービジョンケアです。 |
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WHOは1980年の概念モデルでは障害を疾病、機能障害、能力障害、社会的不利に分類しています(図)。最近は、活動や参加などの概念を入れ改定作業が行われていますが、まだまだ、1980年モデルが理解しやすいので紹介します。 |
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図 視覚障害と対策
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白内障を例にとれば、白内障手術は技術的な進歩や材質の改良で安全な手術となり、ほとんどの例で視力は1.0近くまで回復します。しかし、手術で水晶体は摘出されますので、だれもが調節力がない調節機能障害の状態です。つまり、近くを見るときには近用眼鏡が必要です。白内障手術後でもなかには矯正視力が0.5以下となる例もあり、本が読めなかったり、歩けないこともあります。 |
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この状態を能力障害といい、0.1未満になると極度に日常生活で支障が生じ、移動や情報処理が非常に難しくなり、仕事を失ったり、大好きな音楽会もひとりでは行けなくなったりします。このよう状態を社会的不利と呼びます。 |
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従来は機能障害までを医療が分担し、それ以後の訓練は教育や福祉が担当していました。しかし、医療と教育・福祉の間の垣根は非常に高く、お互いに情報はほとんど交換されていません。この垣根を低くし、互いに風通しのよい状態にし、一緒に視覚障害者について頑張るのがロービジョンケアです。 |
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