第7回

増加している加齢黄斑変性

 

 黄斑は網膜の真中にあり、視力に最も関係ある部位です。この黄斑に老化のため異常な血管が生えたり、萎縮したりして網膜を痛める疾患が加齢黄斑変性です(図1)。50代以降に起こりやすく、視野の中央がぼやけたり(中心暗点:図2)、ゆがん(変視症)で見えたりします。初期には片眼に発症しますが、その程度も軽いため、年のせいにして見逃されることも少なくありません。進行すると高度に視力も低下し、両眼に発症すると日常生活が困難になります。

 

図1 加齢黄斑変性

 

 

 

図2 中心暗点

 

 この疾患の発生機序は、まず、加齢による網膜色素上皮の働きが低下し、老廃物がたまります。その老廃物に刺激され脈絡膜から異常な血管が発生します。この新生血管はもろくて、血液や水分が漏れ、網膜が浮腫状態になり、黄斑の機能が低下します(図3)。欧米では失明原因の第1位で、わが国でも厚生省疫学調査では1993年は1万4400人で1987年の1.7倍に増加しています。男性に多く、遺伝や年齢以外に、15年以上の喫煙歴のある人は発症の危険性が高くなります。

 

 

図3 新生血管の生え方

 

 最近開発されたScanning Laser Ophthalmoscopeなどでインドシャングリーン色素を用いた眼底写真検査は新生血管をみつけるのに非常に有用です。この新生血管をレーザー光線で破壊できますが、治療が有効なのは血管の発生部位が黄斑の中心部にない場合で、うまく血管が破壊できれば、視力が回復する人もいます。しかし、効果は絶対でなく、血管の勢いが激しく破壊できない場合もあり、再発することも多くあります。そのほか、直接血管膜を外科的に除去したり、放射線治療も試みられていましが、これだという決定的方法はまだ、確立されていません。また、加齢黄斑変性で多数を占める萎縮するタイプはこれらの治療法は効果がありません。

 予防法に関しては、緑色野菜に含まれるカロチンが少ないとなりやすいとか肉より魚の摂取がよいとの報告もあります。紫外線(UV-B)が悪くサングラスをかけるべきだといわれています。

 いずれにしろ、中心暗点や変視症がでたら、すぐに眼科を受診することが大切です。一般的には、失明(指の本数がわからない状態を含む)することは希で、身体障害者手帳にも該当しない人が多数いますが、日常生活では非常に困っておられます。本や新聞が読めなかったり、仕事に支障が生じることも多々あります。

 そこで、私たちはルーペや拡大読書器を紹介したり、中心外固視訓練などを行い、読み書きができるようにお手伝いします。また、見やすくするための照明や姿勢をアドバイスしたり、コンピュータの使用も練習します。このようなこともロービジョンケアの一部です。

 

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