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●第9回 |
夜が苦手な網膜色素変性症 |
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「暗くなると見えない」「夜、歩けない」などと訴える方がいらしゃいます。これは夜盲といわれる症状です。夜盲を呈する疾患には、進行性のものと非進行性のものがあります。最近、進行性の夜盲で網膜色素変性症という病名を耳にすることがあると思います。今日のテーマはこの網膜色素変性症です。 |
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光を感じる視細胞には錐体と杆体の2種類があります。錐体は視力や色を、杆体は光覚(明暗)をつかさどっており、約700万個の錐体は眼の中央に、杆体は1億2000万個といわれ中間から周辺にかけ多く存在します。網膜色素変性症ではこれらの視細胞のうち、まず杆体が傷害され、徐々に錐体も傷害され、視野狭窄が進行して視力が低下する周辺型と、病初期から視力低下が著明な中心型があります。眼底には色素斑が出現し、このような病名がついています(図1)。 |
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図1 網膜色素変性症
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網膜色素変性症は、わが国では地域特殊性はなく、人口4000人に1人(すなわち全国で約3万人)と推定されています。突然変異による孤発型が最も多く、常染色体劣性遺伝型、常染色体優性遺伝型、X染色体伴性型や2遺伝子異常型を呈するものがあります。若年発生例では中心型で、劣性遺伝形式が多いようです。視力低下の原因は病巣が黄斑、とくに中心窩に及んだり、白内障が早期に発症したりするためです。この網膜色素変性症の治療には各種の薬物治療が試みられていますが、これといった特効薬はみつかっていません。また、最近は網膜移植や遺伝子の研究も行っており原因遺伝子の解明が進めば、遺伝子治療も将来可能となるかもしれませんが、残念ながら現在のところ治療方法はありません。 |
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網膜色素変性症は失明するといわれていますが、実際は60歳以上であっても視力が0.2以上の人が半数以上で、発症40年間くらいまでは約6割が0.2以上の視力を保てます。40年以上になると加齢変化も加わり、0.1以下が6割となりますが、工夫をすればまだまだ自活できる視力を保持できます。 |
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一般に視力は0.5以上あれば日常生活上支障はなく、学校や職場では特別な配慮は必要ありません。しかし、0.1未満になると極端に問題がでてきます。0.04以下となると点字学習が必要と従来いわれていましたが、最近では拡大読書器が広く用いられてきており、0.02の視力でも十分に活字が読めるようになってきました。職場に拡大読書器や拡大機能をもつコンピュータを導入している人々も多くなってきています。 |
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一方、網膜色素変性症では視野も徐々に悪化し、求心性狭窄10度以内(40cm離れて7cmの円)になると、極度に日常生活が困難となります(図2)。この視野狭窄は緑内障の末期患者でも陥り、歩くことも、本を読むことも困難となります。そこで、私たちは眼球運動訓練を行い、その結果、眼の使い方が上手になると歩くことも本を読むこともでき、楽になったと患者さんは喜んでいます。 |
図2 求心性視野狭窄
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もうひとつ困ることは羞明(まぶしさ)です。ほとんどの眼疾患では羞明を訴えます。とくに、網膜色素変性症では多くの人々が羞明を訴えます。このような場合、私たちは遮光眼鏡という特殊な眼鏡を処方します。500nm付近の波長の光がまぶしさに関係しており、この波長や網膜に害のある紫外線(UV-B)を特異的に遮断する眼鏡です。一般のサングラスはすべての波長を遮断しますから、光量が減弱され暗くなり見にくくなります。 |
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黄色系の遮光眼鏡を使うとコントラスもよくなりよく見え、視力が向上したり、視野が拡がります。その結果、本が読みやすく、楽に歩けるようになり、彼らの表情は一変します。この笑顔をみると私たちの苦労は吹き飛んでしまいます。私たちはこの笑顔を見たいのです。ロービジョンケアに携わって感じられる充実感です。 |
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遮光眼鏡は白内障患者や白内障手術後の方にも有用です。さらに、健常者でも遮光眼鏡を使えばやさしく見えて楽になり、私も遮光眼鏡を用い快適なコンピュータライフを過ごしています。皆様にお勧めします(ちなみに私の遮光眼鏡はCCP400-AC)。 |
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これらの補助具以外に照明や強力ライトなど多数の工夫により網膜色素変性症患者であっても、十分に自立できます。大切なことは、私たちが患者さんや視覚障害者の皆さんと同じ目の高さで支援することです。 |
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